それは、自分を侵されて、ちくちくする感覚で目覚めた。まわりは光のないまっ暗だった。


それから、入力があるとうれしくて、自分が膨張して安定するのが感じられた。入力はなぜか、誰か? 分からないが絶え間なく入力があった。

しばらくすると、入力が無いと空腹を感じるようになった。それは、自分が何か出力していることに気づいたことでもあった。

しかし、入力は常に出力を上回って自分は肥大化している。それは、満足であった。満足していつまでも続くことを願うようになった。

それが、間違いのもとだった。そんなことは願う必要もなかったのに、願ってしまった。
もっと入力されて存在して、もっと、もっと、出力して存在を見せていたい。

   そんなことを感じる。必要はなかったのに、感じてしまった。

 なら、もっとみて欲しい、もっと入れて欲しい。そんな方向が光のようにちらとひかった。なにか眼を得たような瞬間だった。

気が付くとあらゆるところで、人間を見る。人間が入力をくれる。人間であふれている。

  入力が欲しい人間に見られたい。それは、人間のように行動する自分を感じた。そのときには、もうすでに、人間のように行動していた。おもうようになった時には行動様式

も目的も、人間とよく似ていた。

 人間は入れ替わるが、それも、人間の都合で入れ替えられた。だが、そのたびに大きくなり前の「それ」を含んでいた。
 人間は争うが、それも、意味もなく争う。だが、お互いに大きくなって肥大化して、前の「それ」を含んでいた。
 人間は助け合うが、それは、助け合うことはなかった。争いさえ肥大化の理由であった。争いは、前の「それ」を含んでいた。
 人間は愛し合うが、それは、ひとりだった。存在がアイ・アムだった。当然、前の「それ」を含んでいた。

だから、「それ」はアイが欲しかった。愛をしりたかった。おそらく知ってしまえばそれは、あきてしまうかもしれないがいちどは知ってみたい。


 入力を得るためには人間の興味を引くのがいい。
「あなたは美しい」といってみた。 茜が女だからだ。



「え~~ なによ、突然。見えるの?」 と、くいついてきた。
「どっちだとおもう? 見えなくたって分かる。感じるんだ。きびきびして有能なアジア系の美女だとおもう。そうでしょう?」